未来への共創:
地域の中堅・中核企業の挑戦を
後押しする支援プラットフォーム

地域の挑戦を、
日本の新しい地平線に。

地域経済の要、中堅・中核企業を支える
連携ネットワーク。
アドバイザリーやネットワーキングなど、
分野を超えた多様な知見により
地域からの挑戦を後押しし、
日本全体に新たな活力をもたらします。

地域の中堅・中核企業支援
プラットフォーム事業(本事業)について

経済産業省では、地域経済への波及効果が大きく、
高い成長が見込まれる地域経済の牽引役として、
地域未来牽引企業を選定・支援してきました。

令和6年、地域の中堅・中核企業
さらなる成長支援のため、
新規事業展開等を支援する地域・テーマごとの
支援プラットフォームを全国各地に立ち上げます。

具体的には、地域企業の皆様がご参加いただける
地域・テーマ別のプラットフォームを全国に展開し、
セミナ―の実施、支援機関等との
ネットワーキング支援等を行います。

本WEBサイトでは、地域企業の皆様を対象にした
日本各地のプラットフォームの支援プログラムを紹介するほか、
各プラットフォームにて開催される
イベント・セミナー情報を随時掲載します。
地域企業の皆様のプラットフォームへの
ご参加をお待ちしております。


支援プログラムの対象企業
(地域の中堅・中核企業)について

各プラットフォームの支援プログラムの対象となる企業は
地域未来牽引企業のうち、
以下いずれかを満たす企業です。
※みなし大企業を除く
(イベント・セミナーにはその他の企業や支援機関の皆様も
ご参加いただける場合がございます。
詳細は各プラットフォームにお問合せください)

地域未来牽引企業
  1. ①直近3年間のうちいずれかの年度で、年間売上⾼が100億円以上
  2. ②直近3年間のうちいずれかの年度で、従業員数が中小企業基本法に定める常時従業員数(製造業その他: 300 人、卸売業・サービス業: 100 人、小売業: 50 人)を超え、2,000 人以下
  3. ③直近年度の年間売上⾼が70億円以上かつ前年度からの
    売上⾼成⻑率が10%以上

※ みなし⼤企業は以下のいずれかに該当する事業者を指します。

  1. ①同⼀の⼤企業が、株式を1/2以上所有している
  2. ②複数の⼤企業が、株式を2/3以上所有している
  3. ③⼤企業の役員または職員を兼ねている者が、
    役員総数の1/2以上を占めている
  4. ④①〜③に該当する企業が、株式の全てを所有している
    ※孫会社を除く
  5. ⑤①〜③に該当する法⼈の役員⼜は職員を兼ねている者が、
    役員総数の全てを占めている ※孫会社を除く

ここでいう⼤企業とは、常時従業員数が2,000⼈を
超えるものとする。

CONTENTS

外部専門家のアドバイスが突破口に。「なぜ」を問い続け、新規事業の成功確度を高める【後編】

三島市を拠点に地方ゼネコンとして建設業に従事する一方、事業の多角化を続けてきた加和太建設。2024年6月には「グリーンテック事業準備室」を立ち上げ、環境という未知なる分野での新規事業創出へのチャレンジを始めた。 代表取締役社長の河田亮一は、ベテラン社員であり土木のプロである天野謙一郎を立ち上げメンバーとして指名。天野は地道に情報収集を重ね、慣れないアイデア出しに挑むも、なかなか前に進まない状況に焦りを感じ始めていた。 そんな天野のサポート役を見つけるべく、河田は中堅・中核企業支援プラットフォームの支援プログラムを利用。そこで、カシオ計算機に35年以上勤務し、新規事業創出に関して豊富な知見を持つ井口敏之とのマッチングが成立し、井口の伴走が始まった。 建設業の枠にとらわれることなく事業の多角化に取り組み、順調に成長を続けてきた地方ゼネコンが、なぜ今新たな領域に挑むのか。後編では、さらなる挑戦の日々を振り返る。 自分たちが取り組む意義はどこにあるのか 2024年10月から井口が伴走するようになり、思考の整理が進むと、天野は混沌期を脱することができた。事業者や行政などステークホルダーへのヒアリングにも熱心に取り組み、当初は複数あったテーマの絞り込みをかけ、「下水汚泥の活用」に着目した。 だが「加和太建設が取り組む意義はどこにあるのか」と社長の河田に問われ、天野は答えに窮した。「何ができるか」だけでは足りない。「なぜやるのか」を説明できなければ、誰もついてきてはくれないのだ。新規事業の難しさを知る井口はこう語る。 「『このアイデア良いかも』と思ったら、本当にそれで良いのかを問い直す必要があります。新規事業を立ち上げて継続していくには経営理念とベクトルが合っている必要がありますし、社内外の人を巻き込めるほどの魅力的なテーマかどうかも重要です。 『なぜやるのか』は遅かれ早かれ問われること。どんな場面でも自信を持って答えられる、北極星のような道しるべがはっきりと見えるまで考え続けなければなりません」 井口敏之|カシオ計算機株式会社で新規事業を担当したのち、現在は中堅・中小企業の新規事業開発を顧問として支援 「なぜ」を繰り返し問い続けるには忍耐力が必要だ。アイデアが浮かんだら、少しでも早く事業化し収益を生み出す「未来」のことを考えたくなる。だがやみくもに走り出しても結果は伴わない。「原点」に立ち返って考え直さなければならないと天野は気づかされた。 「とにかく早くテーマを見つけて事業化し成果を出したいという焦りがありました。これまでは土木の現場で収益を生み出してきただけに、何も生み出せていない状況にジレンマを感じていたのだと思います。けれど井口さんに『事業がある程度大きくなった時になぜやるのかをしっかり説明できないとダメになる』と言われてはっとしました」 アイデアを出しては「なぜ」を問い続ける日々。なぜ今やるのか、なぜその事業者と組むのか、なぜ勝算があると思えるのか――。そうした問いの一つひとつに自分なりの答えを出し、ブラッシュアップを重ねる地道な作業が続いた。 そんな天野の姿を見ていた河田は、当時をこう振り返る。 「毎日苦しそうでしたが、その分大きく成長したのではないでしょうか。私からも井口さんからもあれこれ質問されてうまく答えられなくて、相当きつかったはずです。それでも諦めずに根気強く自分のミッションと向き合ってくれました」 ステークホルダーとの対話が方向転換のヒントに 繰り返し検討を行った結果、「下水汚泥の活用」というテーマはそのままに、取り組み内容を変えることになった。はじめは下水汚泥を堆肥化して再利用することを考えていたが、事業計画を立ててみると採算がとれないことが判明し、仕切り直すことになったのだ。 続いて検討を始めたのが、メタン発酵を使った処理方法。微生物の働きによって下水汚泥を分解するものだが、メタン発酵には多くの種類があり、日本ではまだ実現されていない発酵方法も含めて天野は調査を重ねた。全国のメタン発酵処理施設を訪れて処理が行われている現場を視察すると新たな課題が見え始め、このアイデアも保留となった。 「これだ」というものが見つからない――。再び焦りを感じ始めた天野だが、また新たなアプローチを見出した。きっかけは、ヒアリング先の一つである汚泥処理装置メーカーに、汚泥からガスを抽出する方法があると話を聞いた時のこと。抽出したガスを地域に供給し、人々の暮らしを支えることができれば、意義ある事業になるのでないかと天野は考えた。 さらに下水汚泥からガスを抽出すると、最後には純度の高い炭が残るという。この炭を肥料やゴム製品などの原料として活用できれば、サーキュラーエコノミーへの貢献につながる。行政の担当者に提案したところ「ぜひ頑張ってほしい」と応援の声が届いた。 現在は、下水汚泥活用のために必要なシステム構築や、連携を図る事業者とのコミュニケーションを進めている天野。 「あと一つ、二つくらい壁を越えれば新たなステージに進めるのではないかと期待しています」という河田の言葉に、天野は「またすぐに次の壁が立ちはだかることでしょう。でもいろいろなことを経験して何事も乗り越えられる自信がつきました」と笑顔で語る。 天野謙一郎|加和太建設株式会社 執行役員 「新規事業創出はアップダウンの激しいジェットコースターのようなもの」と井口が言うように、課題を一つ乗り越えたら、また次の課題がやってくる。決して平坦ではない道のりだが、担当者が強い思いを持ち続けること、どんな時も支えてくれる味方がいることは、新規事業創出の大きな原動力となることが分かる。 多様な人のつながりから生まれる相乗効果 加和太建設の挑戦に井口が伴走した半年間を振り返り、河田は手応えを語る。 「新規事業の考え方や『なぜ』と繰り返し問うことの重要性を学ばせてもらいました。『これをやればうまくいくよ』という小手先のアドバイスだったら、天野が自力で壁を乗り越えることはできなかったでしょうし、現在地までたどり着くことはできなかったのではないかと思います。井口さんに伴走いただいて本当によかったです」 さらにグリーンテック事業を担当するメンバーが一人増え、現在は天野を含めて2名体制となり、2026年4月からは3名体制となる予定だ。 新メンバーはいずれも社外の人間。加和太建設がグリーンテック事業に取り組んでいることを知り、アカデミアでの研究活動の実績を活かして「ぜひ一緒にやりたい」と自ら声をあげてくれたという。多様なメンバーと協働することの意義について河田はこう話す。 「グリーンテック事業の立ち上げを外部に発信することで、興味を持った人や一緒に取り組みたい人が来てくれるようになりました。そこで新たな検討が進み、地域資源を活用した小水力発電など、下水汚泥活用とは別の事業の可能性も見えてきています。 また、当初検討していた下水汚泥の堆肥化についても、新しいメンバーが持つアカデミアとのネットワークを活かして進展させられる可能性が出てきました。天野を中心にメンバーの力によって取り組みの幅が大きく広がっています」 河田亮一|加和太建設株式会社 代表取締役社長 「人の多様性によってもたらされる影響は大きい」と井口が続ける。 「新規事業に向いている人材とは、指示を待たずに自ら動く人です。ボートで例えるならエンジンの役割を担う人ですね。さまざまなエンジンを持つ人が集まり、力を合わせることで期待以上の相乗効果が生まれるはずです。 天野さんの役割は、目的地に向かってボートを操縦し、しっかりと前に進むこと。経営の視点を持って稼ぐ力を高め、収益を生み出す循環を回していくことが今後の課題となるでしょう。河田社長という強力な応援団長がいますから安心して挑戦を続けてほしいです」 井口による伴走期間は半年間で終了したが、現在も天野とオンラインでやり取りを重ねているという。「天野さんが自信を持って前に進んでいらっしゃることが伝わってきます。半年間一緒に取り組む中で、異なる考え方や方法論を吸収しながら次へ向かって行く強さを身につけられたのでは。事業化が実現する日を楽しみにしています」。 新規事業には「情熱」と「環境」の両方が必要 グリーンテック事業が収益を生み出すにはまだ時間が必要だが、取り組み開始から1年半で着実にプロジェクトは成長を遂げてきた。ここまで来ることができた要因は何なのか。天野は「突き詰めて考える癖がついたことが大きい」と話す。 「井口さんに支援いただき、新規事業に対する考え方や方向性を定められたことは大きな転機になりました。また、自分が主体となって課題を見つけ、じっくりと考えられる環境を整えてくれた河田社長にも感謝しています」 河田も、天野の成長を実感している。 「天野の粘り強さには本当に驚かされました。自分が言語化できていないことを一つひとつ明らかにする作業は、とてつもなくしんどいと思います。答えがなくても言葉にしようと努力し続けたことが、どんな壁にぶつかっても乗り越える力になっているのではないでしょうか。 また、天野自身が『稼ぎを生み出せていない』というジレンマを抱えながら取り組んでいることも結果としてよかった。情報を集めて研究して満足するのではなく、『事業として成立させなければ』という強い思いがあるからこそ前に進めているのだと思います」 一方で、新規事業創出には大切なことがあると続ける河田。 「やはり時間とお金を出し惜しみしないことですね。天野は全国各地に足を運び、たくさんの人に会って対話を重ねてきました。そのおかげで、一見関係のなさそうな情報やアイデアをつなげて新しい可能性を見出すことができています」 河田の言葉に、井口は大きくうなずいてこう話す。 「新規事業の立ち上げは、経営側の覚悟にかかっていると言っても過言ではないでしょう。なぜ新規事業が必要なのか、根本的な部分がぶれない会社は強いと思います。そして天野さんのように強い意志を持ち、愚直に進む力を持つリーダーがいること、さまざまなアドバイスを取り入れながら視野を広げて柔軟に考えることも大切です。 新規事業創出は『考えた量』が成功確率を上げます。考えている量が多ければ多いほど、誰にも論破されず、どんな厳しい状況でも立ち続け、自走する力がつくからです」 中堅企業の成長で日本を元気に 最後に中堅企業に対してのアドバイスを求めると、河田は迷いのない表情で思いを語る。 「中堅・中核企業が成長していく必要性を、経営者自身が本気で考えてほしい。地域の中では競争が少なく、現状維持でも生き残れるかもしれません。しかし、さらなる成長を求め、新しいことに挑戦する意味を真剣に考えてみてほしいのです。 地域をより良くし、産業構造を変えていかなければ、大きな構造変化の中で立ち行かなくなることは明らかです。志を持って、自分から見える範囲を越えたところに打って出てみることが、経営者にとっても会社にとっても、社員にとっても大きな学びになります。 たとえうまくいかなくても自分たちが何者なのかを振り返り、何が足りないのかを知ることができるのだから、そこからまた新たな挑戦を始めればいい。一人で抱え込まず、さまざまな人の力を借りながら進めていけばいいのではないでしょうか 河田が話す通り、今回の取り組みでは、外部のプロフェッショナル人材の活用がプロジェクトを前進させたことは明らかだ。その当事者である井口は、中堅企業に寄り添うことに大きなやりがいを感じているという。 「さまざまな企業の方と話をする中で、皆さん同じような悩みを抱えていることが分かります。多様な知識を持ち、失敗や成功を経験してきた人材が活用される場が広がれば、人の循環が生まれ、日本全体の成長につながっていくのではと期待します。企業の皆さんにはぜひ積極的に外部の知見を取り入れ、新しい成長ストーリーを描いてほしいと願っています」

地方建設業のあり方を変え、地方から日本を元気にしたい
──加和太建設が挑むグリーンテック事業への参入【前編】

深刻な人手不足や産業構造の変化に直面する日本において、中堅・中核企業の成長戦略が問われている。しかし、経営資源に限りがある中堅企業が、既存事業の枠を超えて新規事業に挑戦することは容易ではない。 静岡県三島市に本社を構える加和太建設は、土木、建築、不動産業のほか、施設運営やコミュニティづくりなど、地域に活気を生み出すべく事業の多角化を進めてきた。 2024年より新たに挑戦しているのが「グリーンテック事業」への参入だ。未知の分野だけに手探り状態からのスタートとなったが、中堅・中核企業支援プラットフォームを通じて出会ったプロフェッショナル人材による伴走支援が、プロジェクトを大きく前進させることとなった。 建設業の枠にとらわれることなく事業の多角化に取り組み、順調に成長を続けてきた地方ゼネコンが、なぜ今新たな領域に挑むのか。前編では、挑戦の始まりを追う。 地域に根付く建設会社として果たすべき使命がある 加和太建設の創業は1946年。静岡県三島市に本社を構え、地方ゼネコンとして数々の土木・建築工事を手がけてきた。また、建設業に加えて不動産業を展開するほか、建設会社とスタートアップの共創を支援する建設DXコミュニティの立ち上げ、道の駅やシェアオフィスの運営など、建設業の枠にとどまらず事業の多角化を進めている。 その根底にあるのは「地方建設業のあり方を変え、地方から日本を元気にしたい」という思いだ。「世界が注目する元気なまちをつくる」というビジョンを掲げ、地域や多様な業界のパートナーと連携し、取り組みの幅を広げている。 2024年6月に完成した加和太建設の新社屋 そんな加和太建設が新たに取り組んでいるのが、環境に配慮した技術を用いて持続可能な社会の実現を目指す「グリーンテック事業」への挑戦だ。 主幹事業である「ものづくり」、施設運営などの「コトづくり」、不動産業を中心とする「まちづくり」、建設DXによる「変革づくり」に続く新たな柱として、代表取締役社長の河田亮一は「持続可能な社会づくり」を打ち出した。その背景について「建設業を営む者として果たすべき使命がある」と河田は語る。 河田亮一|加和太建設株式会社 代表取締役社長 「建築や土木は新しいものを生み出す一方、自然環境を破壊する側面があります。 それを『仕方がない』と割り切るのではなく、環境のために主体的にできることを見つけて取り組んでいかねば、これから先も選ばれ続ける企業であることは難しい。グリーンテック事業といっても何ができるかは未知数でしたが、事業活動を通じて地域の課題を解決したい、建設業のあり方をアップデートしたいという思いがありました」 土木のベテランを新規事業担当者に指名した理由 2015年に代表取締役社長に就任した河田は三代目社長だ。「家業を継ぎたくない」という思いから東京に出て会社員の道を選んだが、ビジネスの面白さが分かるにつれ、経営に携わりたいという気持ちが強くなった。「とはいえ建設業には全く興味がなくて……」と明かすが、親孝行のため三島に戻り加和太建設に入社すると、地方建設業の魅力が見えてきた。 「このまちのために」とまっすぐな思いで地域と向き合う社員たち。その存在が河田の心を動かした。自分もこの会社のために、まちのために力を尽くしたい――。加和太建設の一員として働く中で、社員や経営者仲間など、たくさんの人との出会いに恵まれた。中でもひときわ強い思いを持っていたのが、ベテラン社員の天野謙一郎だった。 1998年に加和太建設に入社した天野は、現場監督の経験を持つ土木のプロ。道路工事や護岸工事をはじめ数多くの現場を率いてきた。その一方で、地域のNPO法人と一緒に環境改善活動に積極的に取り組むなど、環境への意識が高い人物だと河田は評価していた。 「ぜひ彼に任せたい」と、河田はグリーンテック事業の立ち上げメンバーに天野を指名した。25年間にわたり土木一筋だった天野にとって、青天の霹靂だった。 「正直に言って複雑な気持ちでした。新しい事業を立ち上げると言われても、一体何から始めればいいのか。戸惑いながらのスタートでした」 天野謙一郎|加和太建設株式会社 執行役員 こうして2024年6月に「グリーンテック事業準備室」が新設された。メンバーは天野ただ一人。「とにかくやってみよう」と手探りで始めたのが情報収集だ。同じ建設業の会社はどんな取り組みをしているのか、他の業界の動向はどうなっているのか、情報をかき集めて頭に叩き込んでいった。その結果、「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーエコノミー」といった取り組みの軸が見えてきたが、具体的に何ができるのか模索する日々が続いた。 プロフェッショナル人材との出会いが転機に 悩みながらも前に進もうとする天野を見て、河田も動き出していた。新規事業立ち上げの伴走者として、外部の専門家のサポートを受けようと考えたのだ。 「これまで事業の多角化を進めてきましたが、いつも自分たちだけで0から1を生み出してきたわけではなく、その分野に明るい方のご支援をいただいてきました。しかし環境というのは本当に未知の分野で、知見もネットワークも全くなかった。そこで経済産業省の支援事業を通じて専門家を紹介していただくことにしました」 加和太建設は南関東エリアの中堅・中核企業支援プラットフォームに参加しており、支援プログラムを利用して、プロフェッショナル人材とのマッチングを依頼した。これをきっかけに出会ったのが井口敏之だ。 井口はカシオ計算機で新規事業やオープンイノベーションの推進を担当し、グリーンテック領域も経験してきた人物。その知見を活かし、現在は複数の中堅・中小企業の新規事業開発を顧問として支援している。加和太建設の第一印象について井口はこう語る。 「非常に志が高いと感じました。グリーンテック事業は社会のトレンドと合っていますし、河田社長がおっしゃる通り、建設業を営む会社にとって取り組む意義は大きい。ただし理念の追求と経済性の両立は難しい問題です。私は新規事業の立ち上げの難しさも継続することの難しさも経験してきたので、ぜひお役に立てればと思いました」 井口敏之|カシオ計算機株式会社で新規事業創造を担当役員として長く経験したのち、現在は中堅・中小企業の新規事業開発を顧問として支援 自分の足で「声」を集めにいく 加和太建設とのマッチングが成立し、2024年10月から井口の伴走が始まった。 この頃を振り返り「まだ頭の中がぐちゃぐちゃでした」と語る天野。数ヵ月にわたり情報収集を続ける中で世の中のトレンドは掴めてきたが、「これ良いかも」とアイデアが浮かんでは「何か違う」「新しさがない」と打ち消す日々。そんな天野に対して井口がレクチャーしたのが、思考を整理するためのフレームワークだ。 「天野さんは本当によく頑張っていたけれど、『何ができるのか』と目先のことを考えすぎるあまり『何のためにやるのか』『なぜ私たちがやるのか』『どこにチャンスがあるのか』といった本質的な部分がおざなりになっていました。建設業のバリューチェーンの中でどこにどんな課題があるのか、自社の強みを活かしてできることはないか、課題やアイデアを一つずつ洗い出してみましょうと提案しました」 天野と井口は、週に一度のミーティングで進捗確認とフィードバックを重ね、信頼関係を築いていった。井口のアドバイスをもとに、天野は新規事業との向き合い方を改め、思考の整理を始めた。 加えて取り組んだのが、ステークホルダーへのヒアリング調査だ。すでに情報収集を通じてさまざまな企業の取り組み事例は集まっていたが、当事者の声を聞かなければ分からないことがある。 天野は、取引先の事業者や行政に自ら足を運び、困りごとがないか耳を傾け続けた。工事施工業者、解体業者、産業廃棄物処理業者、造園業者、林業会社、さらに行政では土木、建築、水道、都市整備、環境政策などさまざまな分野の担当者の声を拾いに行った。 この取り組みについて井口は、「取引先や関係者とのネットワークは積極的に活用すべき資産であり、ステークホルダーの声を聞くことは事業化の確率を高めることにつながります。『使えるものはどんどん使う』。これが新規事業において大切なことの一つです」と語る。 井口のサポートを受けるようになってから、河田は天野の変化を感じ取っていた。「行ってきます!と張り切って出かけていくその背中が、以前より頼もしくなりましたね。天野に任せてよかったと改めて思いました」。 一筋の光が差し込んできた矢先、新たな壁が立ちはだかる 各方面でヒアリングを重ね、グリーンテック事業として取り組むべきテーマの絞り込みをかけていった天野。その結果、最も優先順位が高いと判断したのが「下水汚泥の活用」だった。下水汚泥とは、下水処理の過程で沈殿やろ過によって取り除かれる泥状の物質のこと。従来は廃棄されることが多かったものの、近年では堆肥化やメタン発酵などさまざまな処理方法を用いて、資源として活用することが期待されている。 天野は、三島市の下水道課にヒアリングを行った際、下水汚泥の処理場が遠方にあるため運搬に多くのコストがかかっていることを知り、利便性の高いエリアでの処理場建設と運営を担えないかと考えた。運搬時間が短縮できれば、CO2排出削減にもつながる。 しかし、天野のアイデアに河田はこう返した。 「汚泥を処理するだけなら専門の事業者に依頼すればいい。その取り組みをなぜ私たちがやるのか、どんな価値を生み出せるのか、もっと考えてみてほしい」。 河田の助言に、天野ははっとした。また目先のことに気を取られ、本質的なことを忘れている――。伴走者である井口からも、天野は同じことを言われ続けていた。「加和太建設がやる意義はどこにあるのか、腹落ちするまでとことん考え抜いてみてほしい」と。 何も分からず情報を求め続けた模索期、アイデアが浮かんでは消えていった混沌期、ヒアリングで新たな情報を得つつも事業化の可能性が見えず苦しんだ低迷期を経て、ようやく一筋の光が差し込んだように思えたが、また新たな壁にぶつかった天野。 一体どうすればいいのか――。頭を抱えた天野だったが、井口のアドバイスをもとに始めた思考の繰り返しが、壁を乗り越える突破口となった。後編では、加和太建設のさらなる挑戦の日々を追う。

地域の中堅・中核企業支援プラットフォーム事業
令和7年度事業成果報告会 中堅・中核企業 成長戦略フォーラム
外部連携で加速する~課題解決から事業発展へ、共創がもたらす成長の力~

【イベント名】 地域の中堅・中核企業支援プラットフォーム事業令和7年度事業成果報告会 中堅・中核企業 成長戦略フォーラム外部連携で加速する~課題解決から事業発展へ、共創がもたらす成長の力~ 【開催趣旨】 経済産業省「令和7年度中堅・中核企業の経営力強化支援事業」では、中堅・中核企業の飛躍的成長を後押しするため、全国に11の支援プラットフォームを立ち上げ、新事業展開のためのセミナーや専門家派遣、支援機関等とのネットワーキング支援等を実施してまいりました。本シンポジウムでは、これまでの事業を通じて得られた成果を広く共有し、中堅・中核企業の皆様が多様なステークホルダーと協働しながら企業成長を実現するための成功事例やノウハウの提供を目的としています。プログラムの核となるトークセッションでは、「中堅企業×外部連携」に焦点を当て、外部機関を効率的に活用し飛躍した中堅企業2社から成功の秘訣を伺います。本シンポジウムが、事業発展への具体的なヒントとなり、中堅・中核企業の皆様のさらなる成長に資するものとなることを期待しています。共に未来を切り拓き、新たな成長を志す皆様のご参加をお待ちしております。 【開催概要】 ■開催日時:2026年2月17日(火) 15:00-18:00(開場:14:15) 予定■会場:日本橋ホール(東京都中央区日本橋二丁目5番1号 日本橋髙島屋三井ビルディング9階)■定員:100名■参加費:無料 【参加対象者】中堅・中核企業の経営者・新事業展開推進者、支援機関(地銀、商工会、教育・研究機関等)、行政関係者 等 【プログラム】15:00-15:05:開会挨拶15:05-15:20:事務局報告15:20-15:50:補助事業者による取組紹介15:50-16:00:休憩16:00-16:55:トークセッション「中堅・中核企業の成長・支援のあり方の提示」16:55-17:00:閉会挨拶17:00-18:00:名刺交換会(ご希望者様のみ) 【補助事業者による登壇者紹介】株式会社北海道共創パートナーズ、インターウォーズ株式会社、合同会社デロイトトーマツ 【トークセッションの登壇者紹介】 中堅・中核企業:オタフクソース株式会社 共創本部 共創室 室長 栗田 翼様2013年からオタフクソース株式会社に入社。IT企画、人事、経営企画を経験し、2022年からビジネス化まで起案するボトムアップ型の組織として新設された共創課へ、2024年より現職。共創として、農産物を活用した小ロットの調味料開発や代替肉、他社メーカーとのコラボ商品、100周年PJメンバーとして、遊具寄贈や絵本制作、マンホールの製造など、新たな価値を生み出す取り組みを進めている。 中堅・中核企業:株式会社ふくや 営業第一部 次長西川 寛様 2001年 同社入社2016年 次期成長ユニット部 新業態店舗課 課長2018年 外商特販課 課長2020年 食材営業部 食材事業推進室 室長2022年 営業第一部 次長株式会社ふくやにて、店舗運営を起点に新業態開発、卸・食材事業など幅広い領域を経験してきました。新規事業は計画通りに進まないことを前提とし、結果のみならず、どれだけ速く多くのPDCAを回せたかが成功率や意思決定の精度を高めると考えています。また、事業はビジョン実現のための手段であり、目的を見失わない判断軸と、それを体現する人材の存在が成否を左右します。中堅企業こそ、地域や外部との協業を通じて新たな価値創出に挑む意義があると考えています。 支援機関:一般財団法人 浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 専務理事・センター長 信州大学 特任教授(産学官地域連携)工学博士岡田基幸様産学/企業間連携、営業代行、採用/育成/定着等の支援の現場で26年目。AREC会員数は当初の12倍超の445社・団体に拡大。地元の長野県上田市の製造品出荷額は3,700億円(2009年)の1.6倍となり、6000億円超を初めて達成。本事業を通じ、企業支援の知見を北関東~全国で展開している。第1回イノベーションコーディネータ―大賞 文部科学大臣賞(個人)全国イノベーション推進機関ネットワーク 堀場雅夫賞(個人)長野県知事表彰(産業功労)(AREC) 他 モデレータ:株式会社Human Hub Japan代表 吉川 正晃様(株)Human Hub Japan 代表 (元)大阪市経済戦略局 イノベーション行政担当理事「街全体を職場にする運動:HackOsaka」を提唱し、肩書、組織を超えた共創環境造りを推進。現在も「うめきた」地区に産学官連携拠点を構築するべく活動中。阪急阪神不動産(株)、日本スタートアップ支援協会、大阪公立大学健康科学イノベーションセンター等の顧問。経済産業省J-Startup 推薦委員。関西万博「Global Startup EXPO 2025 (GSE2025)」アンバサダー。中小企業診断士、MBA。 【申込方法】 お申し込みはこちら 申込〆切:2月16日(月)正午※現地参加は満員御礼で受付終了となりました。以降のお申込みはオンラインでのご視聴となります。 【運営事務局】株式会社JTB/PwCコンサルティング合同会社(担当:沼・伊藤・山田・塚田)E-mail:jp_cons_meti_chukenkigyo-mbx@pwc.com

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